WBC サムライ ジャパン 世界一(2023年3月21日)

映画のようなクライマックスで大谷投手がトラウト選手を制して32でサムライジャパンが世界一になった。勝った瞬間、大谷投手ははグローブを投げ捨て、帽子まで勢いよくかなぐり捨てた。やり切って勝って終わったという気持を体中で表したエンディングだった。3週間近く楽しませてくれたサムライジャパン、予選から決勝まで7戦全勝の快挙を全てテレビ観戦できた。とても幸せな楽しい時間だった。今思い出すと決勝戦に至るまでには数々のドラマがあった。どのシーンも名場面となり、今もくっきりとそれを思い出すことができる。戦前の話題に上ったヌートバー選手は、アメリカ大リーグのカージナルスの選手、アメリカ人の父と日本人の母の日系アメリカ人だ。ジャパンメンバーは、彼が早くメンバーになじめるよう、母方の祖父の達治さんの名前をもじった「たっちゃんTシャツ」にし話題を呼んだ。そこには宮崎合流時に彼をメンバーに溶け込ませる気遣いがあった。以下に記憶に残る場面を思い出しながら書きとどめる。

●初戦中国戦と続く韓国戦のヌートバー選手のダイビングキャッチは、チームに溶け込ませようとしたメンバーへの日本的なお返しの必死のプレーだった。

●チェコ戦で佐々木投手の162キロストレートの死球直撃は大事には至らなかったが、当てた瞬間の大谷選手のヤバイという思いと顔を覆う仕草はテレビ視聴者もヤバイと感じたに違いない。その後チェコ選手へのロッテのお菓子見舞いは若きエースの純粋さを世界へ発信した。

●オーストラリア戦で大谷選手が特大のホームラン、それも自身の宣伝看板に直撃した。このホームランボールはスタンドでファンの間を撮影会ツアーし、持ち主の手に戻るシーンも紹介され日本の良さを発信した。

●イタリア戦で極端な大谷守備シフトの中、大谷選手のバントは個人の域を超えたチームを勝たせるためのものだった。12塁を想定したが、結果13塁となった。結果として大谷選手の執念を受け取って他の選手の活躍につながった。

●メキシコ戦0-3の72アウトから吉田選手の当たりはセカンドフライぐらいに思えたが、なんと同点3ランとなった。強振せずに左手の押しがあったからきれずにあそこまで球を飛ばせたそうだ。

●メキシコ戦、1点を追う9回裏に村上選手の逆転サヨナラ打で日本中が村上不振を払拭できた瞬間だった。そのお膳立ては、栗山監督。大谷選手の2塁打と吉田選手の死球でノーアウト12塁、1塁走者吉田選手にかえて俊足の周東選手にサヨナラランナーを想定したもので、それまで4打席三振だった村上選手にサヨナラを託した。村上選手は見事劇的な二塁打を放ち、逆転さよならゲームに至った。サヨナラ走者の周東選手の速さも際立っていた。見事決勝へと駒を進めた。

●決勝のアメリカ戦の始まる前のチームの声出しでは、大谷投手の「今日だけはアメリカチームに憧れるのを、やめましょう」「ファーストにゴールドシュミット選手がいたり、センター見たらトラウト選手がいるし、・・・」「野球やってれば聞いたことあるような人がいると思うんですけど、今日1日だけは憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日、超えるために、トップになるためにきたんで、今日1日だけは、彼らへのあこがれは捨てて、勝つことだけを考えていきましょう」「さあ行こう」の気合をいれた。それが見ている人もやっている人も一体となって野球を楽しむ気になった。

2回にソロホームランで先制された日本はそのウラ、村上選手の初球ストレートをソロホームランで同点に追いつき、ヌートバー選手の内野ゴロの間に1点追加で勝ち越した。インタビューのヌートバー選手は、「日本大好き みんなありがとう」と感謝の気持ちを話した。

8回には6人目の投手ダルビッシュ選手が1点は取られたものの、中継ぎの大役を果たしたのも大きい。そして、最終回は大谷選手がマウンドに上がり先頭をフォアボールで出したが、次をダブルプレーに打ち取った。

9回の大谷投手は、エンジェルスのチームメイト、トラウト選手と対戦となったが、フルカウントから最後はスライダーで空振り三振を奪って日本が勝った。

結果は、日本が32で勝って、3大会ぶり3回目の優勝を果たした。大会のMVP最優秀選手には日本の大谷翔平選手が選ばれた。また大会のベストナインには大谷選手と吉田選手の2人が選ばれた。

  まだまだ名場面はたくさんある。意気投合、仲間を信じあえるチーム力が、名将栗山監督が個々の力に加えた支え合う総合力で戦えるサムライジャパンチームを作り上げた。個々の力では勝るアメリカチームに勝利した。