学部改組に向けての学科の対応策(井上メモ)2021年7月

森林資源科学科は受験倍率の低下が問題視されていることから、現状の一学科を維持することは困難なので、同じく受験者数の少ない他学科との統廃合される心配があります。森林資源科学科は、海洋生物資源科学科と同様に、一つの学科として、今後も独立させた運営をすることの必要性を事前に訴えておく必要があるのではないでしょうか。

 その根拠としては、次のようなことを学科で共有しておく必要があります。先ず、森林は上流域において生物多様性を維持する持続可能な森林管理が欠かせません。それが豊かな森林造成を更に推し進め健全な森林資源を確保することにつながります。中流域においては、森林の有効活用を図りつつ、森林本来の役割である林業による木材生産に力を注ぐ必要があり、林業生産活動の活性化に繋げます。下流域では、豊かな森林の恵みを受け森林資源の有効活用と効率的なバイオマス利用を推進する必要があります。したがって森林資源科学科は、上流から下流まで幅広い守備範囲の領域をカバーし、地域全体の森林や自然環境に関する専門教育を森林資源科学科として独立した一貫した専門教育を行う必要があることに他なりません。

 次に森林資源科学科は、上述の幅広い専門教育を実施することにより、国家公務員採用試験、都道府県職員採用試験に多くの合格者を出していることは周知の事実です。それぞれに森林職、林業職、林学職といった森林科学や林学を専門に学んだ学生のみが受験できる公務員志望学生にはとても好条件です。お陰で、昨年度の森林資源科学科卒業生のうち、四十数名が公務員試験に合格し、30名以上が公務員として羽ばたいている実績を有しています。この事実は、本人はもとより、学科にとってもとても素晴らしい実績と言えます。

さらには森林資源科学科への追い風として、2019年度より新たにスタートした森林環境税ならびに森林環境譲与税制度の発足でしょう。森林環境譲与税として、全国の各市町村へ交付される譲与額は人口、私有林森林面積、林業従事者数の3条件により按分された額が独自に都道府県を経由して交付され、各市町は、正しい使い道を模索している状況が続いています。そのため各市町村は、新たに森林や林業技術者を採用して正しい交付金の使途を専門的に思考できる職員を採用し、住民に理解してもらえる政策を実施してそれを説明しなければなりません。そのための市町村公務員試験採用試験職に、新たに森林、林学、林業職試験の区分が新設されてきています。したがって、国家公務員採用試験と都道府県公務員採用試験に加え、市町村においても職種が加えられ、大量の新採が見込まれます。

  これらの理由により、森林資源科学科は、川上から川下までの幅広い範囲の専門職を一学科として専門教育を実施をすることが、さらなる公務員試験合格者を増やし、日大の森林資源科学科、すなわち公務員試験大量合格者排出する学科としてアピール出来るよう森林資源科学科が一丸となって努力を継続していただきたいものです。このような森林資源科学科の実践の事実と結果をより多くの関係者の方々や受験生とその保護者、さらには教育関係者に広く訴えていく手立てとして、どのような方法が適切なのか検討が必要です。その具体的な対策としては、例えば学科ホームページをはじめとするNSN等を活用し現状説明します。森林資源科学科で学ぶことの意味や将来性をアピールすることは簡単にできますし、同時に学部執行部へ対しても理解を示していただくことが先決です。また、国家公務員や地方公務員として羽ばたいた卒業生特集を組んだ学科パンフなどを学部の指定する指定校や、出身者高校へ対して学科パンフレットを送付し、続く受験生を獲得する手立てへつなげることも学科学部の発展に貢献できます。