続 豊かな自然の中で(2023年10月9日)

 

はえ縄と夜釣り:

   梅雨時期から初夏にかけて、葉タバコの葉が大きく成長します。その葉の上のアオガエルを捕まえて、夜釣り用の餌にします。自宅近くの大田川の水深1mぐらいの浅瀬にはえ縄を仕掛けます。長さ10mくらいのシュロ縄に1m間隔に長さ780㎝のタコ糸を垂らし、夜釣り用の大きめの針を結び付け、餌となるアオガエルやドジョウを着けて、一晩待ちます。朝方に、はえ縄を引き上げると、ウナギやナマズに交じりスッポンが良く釣れました。スッポンは直径30㎝程度のものが普通サイズですが、中には50㎝を超える大物も捕れます。町の釣具屋兼タクシー運転手の末広さんは、30㎝のスッポンは300円、50㎝のスッポンは500円で買い取ってくれました。それほど多くは捕れないけれど、良いお小遣い稼ぎをさせていただいた有難いタクシー屋さんでした。一方、夜釣りにおいては、根元の直径11.5㎝、長さ2mの「めんだけ」と呼ばれる細身の竹竿を10本程度用意し、その先に1.5m程度のタコ糸を垂らし、夜釣り針を付けて、餌にはドジョウやアオガエルを付けます。その竿を少し深みのある縁の土手に差し込み、一晩待ち、夜明けと共に、その竿を上げに行きます。明け方に掛った獲物は無傷で捕れるが、夜半に掛った獲物は食いついた後に暴れるので、タコ糸に絡みついたり、ウナギのぬめりをタコ糸に残して逃げることもよくありました。

 

メジロ捕り:

 小鳥たちは秋にはカキなどの豊富な餌を楽しみますが、寒い冬には餌が少なくなり、ハゼの実がメジロの主食になります。メジロを捕獲する方法は、昭和30年代から霞網が規制され始めたため鳥もちに代わりました。鳥もちは、実家近くの川沿いに生えているモチノキの樹皮を剥いで、河原の石ころで叩き潰し、水洗いして天然の鳥もちを作ります。その鳥もちを長さ80センチほどの細い竹に薄くらせん状に塗ります。冬場のメジロが餌を求めてハゼの木に来るので、留まりやすそうな場所へ鳥もちの棒を取り付けます。しばらく待つとメジロは群れで飛んできます。 鳥もちの棒に留まったメジロは身動きができず、しばらくするとメジロの足の温度が高いために、鳥もちが解けて、メジロは逆さまになります。すると羽をバタバタさせるのですが、それが鳥もちにくっついてしまって、羽を傷めてしまいます。頃合いを見て無事に元気なメジロを捕まえることができます。鳥かごに入れたメジロの餌は、ダイコンの葉をすりつぶして、きな粉を混ぜた練り餌です。(写真は自宅裏の餌台のメジロ)

 

冬のツグミワナ:

  秋が深まるとツグミをはじめ、シロハラやジョウビタキなど多くの野鳥が越冬のために北の地からやってくる。秋晴れの日には上空高くを南へ飛来するハチクマは鉄砲撃ち猟師の格好の獲物です。子ども達は猟銃が使えないので、ワナを仕掛けて小鳥を捕まえます。もちろんタンパク源としての食糧を得るために仕掛けます。山地の西日の当たるなだらかな斜面は鳥たちのえさ場となるので良く捕まえられる。小指の大きさほどの灌木を長さ1.5メートルほどにし、これを引っ張り曲げてバネとして利用します。灌木の先端に長さ1メートルほどのタコ糸を2本と80センチのタコ糸1本を結んで、長い2本で逆字形に地表に差し込み。短い1本は止まり木を支える役割に使用します。枯れ枝で周囲を隠し、ナンテンやヒサカキの色鮮やかな実の枝を飾り、上空から目立つようにしておびき寄せます。この止まり木に鳥が止まるとその重さで止まり木が下がり、灌木のバネが作動して鳥を挟んで捕まえる仕組みです。横たわっている大きな幹の上にも、この仕組みを応用して足を括り付けるワナを仕掛けてヤマドリを捕まえます。