天竜川のアユ

鮎釣り

 アユ釣りは共釣りか転がし釣りの二通りだけと思っていた。30数年前に浜松市の天竜出身の学生が、鮎釣りがあるという話をしてくれた。嘘だろうと言うと、その学生が、それじゃあ今度一緒に釣りに行きましょうと言う。6月の解禁になった頃に、天竜川の支流の阿多子川へ案内された。はっきりは思い出せないが、23mの細い雌竹に細い釣り糸を取り付けて、1センチにも満たない螺旋状のリング(写真)を付けて、その下に小さな釣り針をつける極めてシンプルな仕掛けである。針へつける餌は、23mmのイカ、スプリング螺旋リングに、シラス干を握り付ける。しばらくするとシラス干が水に溶けて少しずつイカの餌辺りに落ちる。6月のアユは、そのシラス干や針のついたイカを食べるので、それを釣る方式である。何匹か本当に釣れた。6月のアユはまだ縄張りを持っておらず、岩についたコケよりも、シラス干や、イカの小さな切り身を好むのだそうだ。納得できる鮎釣りを体験させてもらった。

天竜川支流阿多古川のアユ漁 

 もう一つのアユ取りの方法を紹介したい。鮎釣りを教えてくれた学生の父親は、毎年、天竜川の漁業権を購入してる。天竜川の支流の阿多子川の上流部分の一定区間を、アユをどんな漁法で獲っても良い権利である。1980年代の夏休み期間中の暑い時期に研究室学生を20名ほど引き連れ、アユ捕りを体験させてもらった。幅34mの川幅の淵から浅瀬になる箇所へ立網を一つ入れ、もう一つの立網を上流100m程度の所から下流に向かってみんなで追い込んで行く。追い込まれたアユは、少し深みのある淵の岩の間にべったり張り付いたようにして動かない。

動かなくなったアユを長さ1.5mほどの細い竹竿(写真)の先にトリプルフックの三又針で引っ掛けて釣り上げる。初めて挑戦する学生でもコツをつかむとすぐに引っ掛けることができる。(写真)

 短時間で100匹ほどのアユを釣り上げられた。河原にはアユと五平餅を焼く移動式の囲炉裏を囲み、地元の味を満喫できた。